熊本大学 法学部2017
12/24

3・4年次の授業 私たちの日常生活においては、お金を貸したのに返してもらえない、不注意で怪我を負わされたのに賠償金を払ってもらえない、といった様々なトラブル(これを「民事紛争」と言います)を生じることがあります。ただ、そのような場合でも、個人が自ら実力を行使して問題を解決することはできず、民事紛争の解決のために設けられている制度――民事訴訟――を利用して解決を図る必要があります。民事訴訟法という法律は、この民事訴訟の進め方について定めた法律であり、私たちの身近に生じうるトラブルを最終的に解決することができるか否かは、民事訴訟法の仕組みや運用にかかっています。 民事訴訟という制度が、時間や費用のかかり過ぎるものであったり、秘密やプライバシーを適切に保護できないものであったりすれば、紛争解決への途は事実上閉ざされてしまうことになるかもしれません。民事訴訟法の講義では、民事訴訟の進め方に関する様々な決まりごと(訴えはどの裁判所に起こすのか、裁判所はどのような事案でも裁判として扱うことができるのか、裁判に必要となる証拠は誰がどのようにして集めるのか、裁判の結果に不服がある場合に再審理を求めることはできるのか、等々)について学ぶと同時に、今日の訴訟制度が抱える課題についてみなさんと一緒に考えていきます。民事訴訟法-川嶋 隆憲 Takanori KAWASHIMAKumamoto University Faculty of Law11研究教育振興会 学部の活動は、原則として国からの運営交付金や学生からの授業料などによって賄われていますが、残念ながらこれらのみで十分な活動を行うことはできません。そこで、熊大法学部の教員と学生が会費を負担しあい熊大法学部研究教育振興会という組織をつくり様々な活動を行っています。 会が支援を行っているのは、行事実行委員会による1年次合宿研修・スポーツ大会(10頁参照)、法学検定試験の団体受験の実施(7頁参照)、法や政策に関連するDVD上映会、第一級の研究者を招いての講演会やシンポジウム、あるいは就職セミナーなどです。また、この会の経費で、資料室にコピー機を設置し、必要な文献や資料を直ぐにコピーできるようにしてあります。 会員になった学生は、法学検定試験の受験料、専門ゼミの合宿や卒業論文集の費用の補助を受けることができます。また、卒業式では、卒業記念品の配布、成績優秀者・最多単位修得者・優秀論文の表彰も行っています。卒業式での表彰は毎年大いに盛上がります(17頁参照)。 凶悪事件の容疑者が逮捕されたというニュースに触れたとき、「犯人が捕まった」と思ったことはありませんか。しかし、刑事訴訟法上の真犯人は、刑事裁判で有罪判決が下され、その判決が確定した後にはじめて存在することになります。真犯人には刑法が適用され、刑罰が科されることになりますが、真犯人かどうか、どのくらいの刑罰を科すべきなのかは、刑事訴訟によってはじめて明らかにされます。そして、刑事訴訟に関するルールを定めた法律が刑事訴訟法です。刑事訴訟法は、真実の発見と被疑者・被告人の権利との調整を図る法律です。ときとして、被疑者・被告人の権利保護のために真実発見が犠牲になることもあるかもしれません。この授業では、このような刑事訴訟法の理念について学びます。刑事訴訟法-内藤 大海 Hiromi NAITO

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です