熊本大学 法学部2017
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 王様・領主の命令によって人々が服従させられていたかつての身分社会(封建制度)を打ち破るため、人々は平等であるとの考えが強くなり、最終的にはフランス革命などによって、市民社会が確立しました。 支配・被支配の関係、つまり他者からの介入を排除し自由を得るのが目的でしたから、その後の市民社会は「自由・平等」な関係が理念とされています。 これが自己決定・自己責任のルーツです。 このような視点から市民と市民の関係を考えるのが「私法」です(民法や商法など)。 しかし、自分の自由は他人の自由と衝突して「万人の戦争状態」となります。 そこで、各自の決定権を集め調整的に機能する装置=国家権力が承認されています。 自分の力を預けたのですから、この装置が暴走しないように適切な状態にあるか常にチェックしなければなりません。 このような視点から市民と権力の関係を考えるのが「公法」です(憲法や行政法など)。 理系であれば自然現象などを、文学部であれば文学や文化について考えていきます。 これに対して法学部は「社会」つまり「人と人(団体)」の「関係」を考えていきます。 同じく社会を対象とする経済学が「費用(コスト)」という視点から「交換」における人の動きを捉えていくのに対して、法学は「あるべき姿(規範)」という観点から「権利・義務」で人の関係を捉えていきます。 法学部では法律を勉強するのはもちろんですが、法が社会において機能する以上、社会そのもの、あるいは政治や政策、経済などの知識・理解がなければ、社会問題に対応することはできません。 広い視野を身につける必要があります。そこで、熊大法学部では、主に法学系科目を学ぶ「法学コース」と主に公共政策系科目を学ぶ「公共政策コース」の2つを用意して様々な授業を開講しています。 本パンフレットでその一部を体験して下さい。 学生は、3年次に何れかのコースを決定することになります。法学系 法学、政治学、経済学という言葉は学問として想像しやすいでしょうが、公共政策という学問分野はなじみがない、どんな学問なのか想像しにくいところだろうと思います。 まず、公共という言葉は特定の個人だけ、企業だけというのではなく、「多くの人々が関係する」、「影響を受ける範囲」というような意味です。 次に、政策という言葉は、企業や政府のような集団にとっての行動目標・行動計画というような意味です。したがって、公共政策というのは、広く社会全体に影響を与えるような政策を研究する学問分野ということになります。 公共政策においては、さまざまな組織(政府、地方自治体、企業、各種機関)が政策を計画・実施していく仕組みを学んでいきますが、そのためには法学、政治学、経済学の基礎知識が必要となるのです。 公共政策とは、様々な基礎知識を組合わせて、現実の問題に対する「解決策」やその「手順」を考える学問です。公共政策系Kumamoto University Faculty of Law熊大法学部で何ができるの?3法学科法学コース公共政策コース法学コース公共政策コース

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