熊本大学 法学部2017
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民法入門 国家の役割は、わたしたちの生命・自由・財産を守ることにあります。 ところが国家だけが正当な実力行使を独占しているために(国家は強制の機構といわれます)、逆に、国家によってわたしたちの生命・自由・財産が危険にさらされる場面も生じてきました。 自由な社会のなかで生活していくためには、国家が正しいことをしているのかつねに検討してみる必要があります。 憲法という学問は、大きく2つの分野にわけることができます。 ひとつは、国会、内閣、裁判所といった国家機関の役割・活動を分析する「統治機構論」です。 もうひとつは、表現の自由や職業選択の自由に代表される自由権、生存権や労働基本権に代表される社会権などの意義を分析する「基本的人権論」です。 憲法Ⅰでは「基本的人権論」の側面から、国家の活動の正当性について勉強します。「統治機構論」は憲法Ⅱとして、2年次に勉強します。憲法Ⅰ-大日方 信春 Nobuharu OBINATA教養教育科目Kumamoto University Faculty of Law1年次の授業■履修イメージ 前期12345月基礎演習Ⅰ憲法Ⅰ火 民法入門憲法Ⅰ水木金5 大学では、各学部で学ぶ専門教育の他に一般教養として他学部生と一緒に学ぶ授業があります。具体的には、1年次は月・火曜日に学部の専門科目の授業があり、水曜日以降に教養教育科目を自分で選択して履修します。 まず、卒業するために教養科目として必ず履修しなければならない授業は、「基礎セミナー」、「ベーシック」、情報科目と必修外国語(英語)です。熊大では、自分が履修する授業の登録や成績管理は、「SOSEKI」という情報システムを利用しています。また、自宅などで24時間いつでも学習できるようにインターネットを使った「Moodle」というeラーニングシステムが全学で導入されています。したがって、パソコンやインターネットの知識は不可欠であり、まず使い方をしっかりと学習します。 次に、一定の科目の中から卒業に必要な単位数を選択して履修しなければならない授業は、初修外国語(第二外国語)と「自由選択外国語科目」、「教養科目」、「社会連携科目」、「開放科目」として開講されている科目です。第二外国語は中国語が人気ですが、専門科目との関係ではドイツ語・フランス語も重要です。教養教育科目※P5のコラム参照※P5のコラム参照 現代社会では、契約、婚姻、相続などにかかわる、さまざまなトラブルが生じることがあります。こうしたトラブルを法律的に解決するために作られた法律が民法です。また、民法は、商法や消費者法等といった私法の基礎となる法律です。したがって、民法は、一般市民として生活するうえでも、社会人となって働く際にも必要となる法律です。 しかし、民法は、多くの学生にとって、大学ではじめて目にする法律です。また、憲法や刑法のような公法系の法律と、私法系の法律とは、立法目的が異なるために、初学者にとって、民法は少し親しみにくい法律のように感じられるのではないでしょうか。 そこで、民法を勉強する前段階として、1年前期に民法入門のなかで、民法の体系や私法における法律的なものの考え方を勉強します。こうした法律的なものの考え方は、民法のみならず、商法や民事訴訟法、行政法、社会法などの法律を学ぶ基礎になります。

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