熊本大学 法学部2017
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基礎演習 刑法とは、「犯罪」と「刑罰」の内容を定めた法です。殺人罪や窃盗罪、偽証罪、放火罪、危険運転致死傷罪といった様々な種類の犯罪と、罰金や懲役から死刑に至るまで、それぞれの犯罪に対する刑罰が規定されています。 例えば、人を包丁で刺して殺害した場合、殺人罪が成立することは明らかです。 それでは、人を包丁で刺し、被害者が病院で手当てを受けている最中にその病院が火事になり焼死した場合や、近所の池で溺れている幼稚園児を助けず見殺しにした場合にも、殺人罪は成立するのでしょうか。 犯罪が成立すれば刑罰という最も厳しい制裁が科されることになるわけですから、その成否は慎重に検討しなければなりません。そして、そのためには、犯罪の成立要件や判断方法を理論的に明らかにしておく必要があります。 そこで、この授業では、刑法の基本原則や全ての犯罪に共通する一般的成立要件、犯罪の成否を判断するための理論的枠組みについて勉強していきます。 2年次以降も、各犯罪の個別的成立要件について学ぶ刑法各論Ⅰ・Ⅱや、刑事裁判の手続を学ぶ刑事訴訟法、犯罪者に対する刑の執行や少年事件の取り扱いなどを学ぶ刑事政策などの授業があります。刑法総論-澁谷 洋平 Yohei SHIBUYA 通常、我々は日常生活の中で様々な法律行為を行っており、その行為によって権利と義務が発生します。例えば、パンを購入する、レンタカーを借りるという行為は、売買契約や賃貸借契約といった法律行為であり、これにより各契約の当事者にそれぞれ権利と義務が発生します。では、これらの契約において、渡された物が不良品だった、借りた車のドアをぶつけてしまった等何か問題が生じた場合は、どのようなルールに従って問題を解決するのでしょうか。 このような私人の間に生じたトラブルを解決するための基本的なルールが、民法です。民法総則の授業では、多くのルールの中でも総てに共通の規則である[総則]という分野を学びます。具体的には、そもそも誰が権利義務を持つことができるのか、どうすれば権利義務は発生・変更・消滅するのか等です。 なお、民法については、2年次に物に対する権利である物権(所有権など)と人に対する権利である債権の総論を、3・4年次に契約法(売買や賃貸借など)、債権担保法(債権回収を確実にする方法)、不法行為法(事故に遭った場合の損害賠償請求など)、家族法(婚姻・離婚や親子関係、相続)など、人の一生に関わるルールを4年間かけてじっくり学びます。民法総則-濵田 絵美 Emi HAMADA■履修イメージ 後期612345水木金月選択演習A刑法総論火民法総則刑法総論 熊大法学部では、少人数教育を徹底するため、学生は、1年次から4年次まで各学年で多くても20名までの少人数のクラスに所属します。 1年次は、法学部生として学んでおくべき基礎的な事項(法律や判決の読み方)を学習した上で、時事問題や新聞をテーマにして、図書館やインターネットでの資料の集め方、まとめ方、報告要旨(レジュメ)の作り方、報告の仕方を身につけていきます。また、「討論(ディベート)」の実践を行ったり、裁判所に裁判を見学に行くクラスもあります。特に、クラスでの裁判所見学は、裁判官に質問できたりと貴重な体験ができます。 2年次は、古典的・基礎的な本をじっくり読むことで、読解力・分析力・思考力を身につけ、3年次からの専門ゼミに備えます。例えば、イェーリング『権利のための闘争』、J・S・ミル『自由論』、J・J・ルソー『社会契約論』、川島武宜『日本人の法意識』、丸山眞男『現代政治の思想と行動』などを読み、報告者を中心に「何が書いてあるのか?」を考えていきます。教養教育科目※P5のコラム参照※P5のコラム参照

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