国際交流
ベトナム・カンボジア研修に参加して 

石橋遥(法学部3年)・上野律子(法学部2年)

 私達は熊本大学大学院社会文化科学研究科に同行し、ベトナム・カンボジア研修に参加しました。どちらの国も私達にとって初めて訪れる国で、多くの発見と出会いがありました。ベトナムには6日間滞在し、主にハノイ大学、日本貿易振興機構(JETRO)のハノイ事務所やホーチミン国家政治行政学院を訪問し、見学しました。

 それぞれの訪問先で、ハノイ大学の観光学科で行われているホテル研修などの実践的な教育内容、日系企業にとってのベトナム進出のメリットとリスクや労働力の質の向上について、また公務員養成プログラムの改善プロジェクトとその目的について多くのお話を伺うことができました。特に、JETROでは、ベトナムの情報や情勢・貿易や投資の動向・日系企業にとってのチャンスやリスクについてお話を聞くことができました。ベトナムでの事業のデメリットである原材料輸入コストや、法制度・行政手続きの煩雑さを抱えつつも、他のアジア諸国に比べてある程度安定した社会状況や人件費等からベトナムでの事業縮小は考えない企業が多いということを知ることができました。労働力としての人材育成には、初等教育や生活習慣指導も含まれるということで、ベトナムではそれらについての教育コストが他国よりも低いということです。

 それらの体験を通じて、教育と人材育成の重要性について考えを深めることができたと感じています。

 カンボジアでは5日間滞在し、プノンペン、シェムリアップといった都市をまわりました。

 カンボジア、プノンペンにおいて国際協力機構(JICA)司法協力プロジェクトの現場視察に参加しました。このプロジェクトは、日本が民法分野において起草段階から法整備を支援するものです。他国からの援助を期待し自国の自立を妨げてしまういわゆる援助慣れに対してどのような対策を行っているのか質問をしたところ、それに対して、日本の法律家や大学の研究者を交えJICAとカンボジア人の職員により自立支援のためのセミナーを定期的に行っているという返答を得ました。さらに次のカンボジアの法体制を担う若手人材の育成に取り組むことは重要であるとの返答ももらいました。

 次に、王立法科経済大学を訪問しました。王立法科経済大学にはカンボジア日本法教育研究センターが附設されています。そのセンターでは、日本語を用いて民法を始めとする日本法の習得を行う教育がなされています。そこで学ぶ学生たちと交流したのですが、皆日本語を学び始めて2,3年であるのに非常に流暢に日本語を話しており驚きました。外国語で外国の法律や判例の解釈に挑むことは苦労の絶えないことであろうと思います。しかし生き生きと学習に取り組み、日本への留学を志したりカンボジアの司法制度を支える人材になることを目指したりする姿に刺激を受けました。JICAの方がおっしゃっていた将来のカンボジアの法体制を担う人材の育成はこのようなことだと身をもって体感することができました。

inter_img01.jpg
↑ベトナム最高人民裁判所前にて

inter_img02.jpg
↑カンボジア日本法教育研究センターの皆さんと

 今回の研修に参加して、多くの人達に出会う機会を得ることができました。学部生の立場で大学院のプログラムに参加することにはじめは緊張していましたが、皆様私達の質問に丁寧に答えてくださり、多くのことを教えてくださいました。現地で交流した学生の方々も意欲にあふれ、このような方々にお会いできたことも研修に参加した一つの成果だと感じております。

2015年10月28日掲載
(学年は掲載日当時のもの)