学生リレーエッセイ

2020.01.21  <星子 涼(法学部4年)>

 あなたは「春」にどんな思い出がありますか。木の芽は吹き、何か新しい予感めい

たものが疼き、沢山の別れと出会いが重なる年もあったかと思います。かく言う私

も、今春で無事卒業することになりました。私の大学生活の経験が、誰かの一助にな

れば幸いです。

  私は、ご縁があって、司法書士事務所でアルバイトをさせて頂いています。そこは

現在、2名の資格者と4名の補助者の事務所です。私もその補助者のひとりなのです

が、補助者とはさまざまな業務において司法書士をサポートする存在です。まず「司

法書士って何をする仕事?」という疑問が出てくるかと思います。司法書士とは、一

言でいうと「登記」をする仕事です。

 次に「登記とは一体なんぞや?」という疑問が出てくるかと思います。不動産登記

に限定して言うと、それがどんな広さでどのような用途なのか、どこの誰がどういう

経緯で所有しているのか記録したものです。ちなみに、法務局に行けば誰でも「い

つ、どこから、いくら借り入れたのか」まで見ることができます。(プライバシー保

護より、取引の安全を重視しているからと説明されます。)

 そして「じゃあ具体的に何しているの?」という疑問が出てくるかと思います。例

えば、相続に関する案件に関しては、全国の市役所や町役場に戸籍等を請求して、相

続人や所有する不動産を調査したりしています。メインの仕事は、委任状などの書類

作成といった登記申請の準備です。意外に思われる方もいるかもしれませんが外回り

の仕事も多く、私以外はタクシーの運転手に負けないくらい道に詳しいです。私は日

の浅さと方向音痴が相まって、まだまだ道が覚えられていません。

 登記は、本当に間違いの許されない作業の連続で、かなり神経を使います。一言一

句に気を配り、ダブルチェックは当たり前で、複雑なものは職員総出で確認していま

す。 
 さて、私の大学生活を振り返ると、大変充実したものだったと思います。大分まで

法学部の友人とドライブし、真っ暗闇の道でガス欠に怯えながらハンドルを握った夜

もありました。またサークルでは学部を超えて、一生付き合っていけるような親友も

できました。そして、中学の時から大好きなアーティストのライブに行くことがで

き、何の感情からか分からない涙を流したこともありました。

 また新しい春がきて、私はモラトリアムから卒業です。私に関わってくれた全ての

人に、本当に感謝しかありません。