学生・教員リレーエッセイ

2011.06.10  <教員 Y.S>

年度末の業務の合間を縫い、2011年2月末から3月上旬にかけて、ロンドンに出張しました。
 今回の出張の目的である文献・資料の調査・収集にあたっては、大英図書館(British Library)とLSE(London School of Economics)の図書館を利用しました。大英図書館では、Reader Passの交付を受けた後、Reader's Roomにて、静寂な雰囲気の中、1977年刑事法の立法資料を調査しました。また、LSE図書館では、熱心に自習する膨大な数の学生に混じり、イギリス刑事法のテキストや裁判例を多数調査しました。
 また、裁判傍聴のため、連合王国最高裁判所(Supreme Court in U. K.)と王立裁判所(Royal Court of Justice)にも行きました。最高裁判所は、貴族院(House of Lords)に代わる機関として、2009年10月に創設されました。国会議事堂の反対側に静かに佇む建物です。新規の民事事件でしたが、裁判官7名は全員スーツ姿で、半円状のテーブルに弁護人と向き合う形で座り、弁論の途中で様々な質問を出すなど、企業の企画会議(勝手な想像です)のような雰囲気の中、裁判が進行しました。王立裁判所では、控訴院刑事部の刑事上訴審を傍聴しました。裁判官は全員法服・かつら等の衣装をつけ、とても高い壇上に座ります。麻薬取引の共謀罪の事案で、30分ほどの弁論の後、量刑不当の主張を認め、刑を軽くする旨の判決が言い渡されました。
 さらに、ロンドン中心部を徒歩で移動する際(仕事の合間!)には、ピカデリー・サーカスやトラファルガー広場、国会議事堂、バッキンガム宮殿、ウェストミンスター寺院などを観ることもできました。
 こうして、短期間でしたが、重要な文献・資料が得られたうえ、裁判傍聴では、Lord HopeやBaroness Hale、Lord Chief Justiceなど、判決文の中で「読んだこと」しかない著名な裁判官の意見を「直接聴く」こともできました。もちろん、失敗や反省点も多く、各図書館ではPassの取得、資料の取寄せなどに苦労し、空港の保安検査場ではK1選手のような係員から徹底的な全身チェックを受ける(満面の笑顔のみで対応)など、言葉(英語ですが...)の壁を痛感しながらも、最後に待ち受ける12時間半の飛行を前に、「もう一度来て調査・研究したい」と思える有意義な出張となりました。海外出張ができる環境に感謝すると同時に、このわずかな経験を教育・研究に活かさなければと思いながら、次なる出張に向けて研究を進めています(本末転倒ですね)。
<エッセイ一覧ページを開くと画像も見ることができます>