学生・教員リレーエッセイ

2015.08.04  <三谷 仁美>

 法学部の講義は、前期(4月~9月)と後期(10月~3月)に分かれ、通常、各期15回ある授業は、科目の担当教員が行います。しかし、講義で扱うテーマによっては、現場の声を聞いてもらったり、多角的な視点で問題を把握し、受講生に理解を深めてもらうため、外部の方(他大学教員、新聞社等)をゲストスピーカーとして招へいし講演会を開催することがあります。今回は、7月上旬に行われた行政学の講義に、福島大学から大黒太郎先生(政治学)をお招きしご講演いただいた内容をレポートしたいと思います!
 2011年3月11日、東日本大震災が発生し、福島はさらに原発事故の影響を受けることとなりました(当地熊本にも、福島からの避難者がいらっしゃいます)。講演会の当日、大黒先生には、「政治と行政の関係」、「中央と地方との関係」から、福島で今起きていることについてお話しいただきました。大震災。この究極の瞬間に、福島大学では何が起こったのか。人が住めない国土ができてしまったこと、そして未だ収束していない原発事故。一体、現在の福島はどのようになっているのでしょうか。
 大黒先生は、震災後、「あぶくま地域の『農』と『食』の復興を通じた福島再生」を掲げ、地元の皆さんと共に歩んでこられたご経験を、とりわけ被災者の心情に重点をおいてご説明くださいました。震災直後の卒業式の様子、福島大学の学生の皆さんによる取り組み(仮設住宅訪問、被災地域のマップ制作、ドイツ研修等)も、沢山の映像や写真で見せていただきました。
 聴講した学生の中には、熊本にいながら現地の大学の先生の話を聞く機会に恵まれたこと、そして、福島の問題が風化し、忘却されることへの危機感を抱いた人もいたようです。同時に、今こそ柔軟な想像力を働かせ、福島において現場は何を必要としているのか考えていく必要があることを強く実感した学生もいました。
 定期試験が終われば、大学も夏休み!何かを知れば、そこから世界が広がっていき、自分が得た一つの情報が、新しい行動につながることもあります。それが「知る」ことの第一歩。この講演を聞いた学生達は、この夏どのような一歩を踏み出すのでしょう。
 このように、熊本大学法学部の講義には、皆さんに「知る」ことの面白さを味わってもらうための工夫が、随所に散りばめられています。ちょっぴり法学部の講義をのぞいてみませんか。今週(8日)開催予定のオープンキャンパスでその体験ができます。ご関心をお持ちになった方、是非、法学部へ一日限定の体験入学をしにいらしてください。お待ちしております!
詳細:https://www.law.kumamoto-u.ac.jp/prospective/event.php

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