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刑事法系講演会を開催しました。

 2015年12月14日、法学部振興会の後援を得て、刑事法系講演会が開催されました。
 本講演会では、数多くの刑事弁護を担当されてきた遠山大輔先生(京都弁護士会)と、刑事法研究者の本庄武先生(一橋大学大学院法学研究科教授)をお招きし、「刑法判例に登場する事実の形成過程と刑法的処理」というタイトルのもと、ご報告いただきました。
 報告の共通素材は、ファイル共有ソフトを開発してインターネット上で提供した者が著作権法違反行為を幇助したとして起訴された、いわゆるWinny事件でした。
 遠山先生は、この事件の弁護団の一員として無罪判決を勝ち取った経験を交えながら、有罪・無罪を判断する前提として重要となる、被告人がWinnyを開発した「目的」を証拠に基づき認定していく過程に絡めて、裁判における「事実」及びこれを認定するための「証拠の吟味」が重要であることを強調されました。
 本庄先生は、Winnyのように、一方で社会的有用性が認められるものの、他方で悪用の可能性がある物を提供する行為(日常的・中立的行為)に対して幇助犯を認める際、開発・販売行為を過度に委縮させないよう、処罰範囲の限定が必要であること、Winny事件における最高裁判所がいかなる立場を採用したか、その立場の適否、恣意的な国家刑罰権の行使を防止するという刑事法学の意義などを説明されました。
 質疑応答では、刑法総論の法解釈を学び始めたばかりの1年生から、多数の活発な質問が出され、盛会のまま終了を迎えました。ぜひ今後の勉学に活かしてほしいと思います。
 当日、大変ご多忙な中、貴重なご講演をしていただきましたお二人の先生方に、心よりお礼申し上げます。

【遠山大輔先生】                 【本庄武先生】
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