研究業績

熊本地震と法学・公共政策学に関する共同研究

 2016(平成28)年4月14日と16日、熊本と大分は震度7の地震におそわれました。後に「平成28年熊本地震」と呼ばれています。

 この震災から1年経とうとしていた2017年1月21日、熊本大学法学部は震災被害から生ずる法学・公共政策学的課題について、シンポジウム「熊本地震が提起する法的・政策的課題」を開催しました。

 また、熊本大学法学部は、熊本地震が提起する課題を総論的に論じたこのシンポジウムを皮切りに、以降、「熊本地震と法律学の役割」と題する全5回の『法学セミナー』誌上で実施することで、このテーマを各論的に検討する機会を得ています。

 このサイトでは、2017年1月21日のシンポジウムの概要をおさめた「[特集]熊本震災と法・政策」と「熊本地震と法律学の役割」をテーマとした4本の連載論文、そして、最後に執筆者を含めて実施された座談会「生活再建に直面した被災者にどのような手を差し伸べるのか」(全2回)を掲載します。

 なお、熊本大学法学部・エルペルクでは、ある社会的問題を法学・政治学・経済学といった社会科学の複数の学問領域の視点から複合的に検討する「実践社会科学」という研究手法の確立・定着を目指しています。熊本地震からの復旧・復興にあたっての法学的・政策的課題を検討したこの共同研究は、実践社会科学の手法による熊本大学法学部の組織的取組です。

(大日方信春)

1.[特集]熊本震災と法・政策 (749号、2017年6月号)

(0)
目  次
(1)
本企画の趣旨について(岡田行雄)
(2)
震災への対応から見えてきたもの(村田信一)
(3)
熊本地震の法律相談の現場から(松村尚美)
(4)
災害に対峙する法律学の貢献可能性(大脇成昭)
(5)
震災があぶり出す「公助」の課題(鈴木桂樹)
(6)
熊本震災から学んだこと、今後につなげるべきこと ―フロアからのコメントと応答
(7)
平成28年熊本地震 - 熊大黒髪避難所運営記録集『416』(安部美和)
 ―― わたしたちがやったこと 未来へ伝えたいこと

2.[連載]熊本地震と法律学の役割

第1回
大脇成昭「復興期における住宅再建支援策 ―― 公費投入の是非を中心に」(750号、2017年7月号)
第2回
濵田絵美「自然災害時の二重ローン問題について」(751号、2017年8月号)
第3回
倉田賀世「震災の社会保障法学的権利に基づく検討 ―― 熊本地震から見えること」(752号、2017年9月号)
第4回
大日方信春「私有財産制のコスト ―― 土地収用の現場から」(753号、2017年10月号)
第5回
座談会「生活再建に直面した被災者にどのような手を差し伸べるのか〔上〕」(754号、2017年11月号)
第6回
座談会「生活再建に直面した被災者にどのような手を差し伸べるのか〔下〕」(755号、2017年12月号)