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地域紛争予防・解決部門

第74回"社会を明るくする運動"熊本市推進大会で講演しました(2024年7月2日実施)

 本センター所属の岡田行雄教授が、7月2日の午後、熊本市民会館シアーズ夢ホールにて「刑事法をめぐる被害に向き合おう」というテーマで講演しました。

 犯罪者や非行少年には、犯罪や非行以前に、虐待被害、いじめ・体罰による被害の他に、行政に不作為による被害や言葉に出して被害を語ることができない「被害」などの、様々な被害や「被害」が積み重ねられていることが少なくありません。その意味で、犯罪者や非行少年は被害者と言うべきなのです。

 しかし、犯罪や非行の被害者と同様に、さらに様々な被害を受けたり、適切な支援がなされなかったりという、さらなる被害や「被害」が、犯罪者や非行少年にも積み重ねられています。そもそも、犯罪や非行の被害者は、刑事法から解放されて、被害者等の幸福追求権(日本国憲法13条)が保障されねばならないのです。

 このことは、犯罪者・非行少年の家族にも当てはまります。加えて、犯罪者や非行少年であっても、積み重ねられた被害や「被害」への埋め合わせがなされる必要があるのです。そのためには、現状の刑事手続・制裁や少年司法手続・保護処分等が改革される必要があります。これを実現するためには、犯罪者や非行少年にとっての社会の受け皿を増やすことが何よりも求められますが、保護司の成り手をどのように確保するかなど課題が山積しています。また、薬物依存、性行為依存など一定の行為依存に陥っている者の立ち直りに向けては、そうした行為依存から立ち直った者を中心とするピアグループを用意し、それに行為依存者が参加できるようにすることも、今後、取り組まれる必要があります。

 このような様々な被害や「被害」への手当てがなされて、犯罪者や非行少年も初めて自らの加害行為に向き合えるようになるのが現実ではないでしょうか。

 以上の内容の講演を300名以上の参加者の方に聴いていただきました。

 このような機会をいただけたことに心より感謝申し上げます。

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