学生リレーエッセイ

2022.08.17  <学生KI(2022年8月17日)>

 今年の4月に無事進級し、私の大学生活も2年目に入った。振り返ると体感的にはあっという間の一年だったが、戸惑いの一年でもあった。長年生活し、慣れ親しんだ地元や親元を離れ一人で生活するようになったことによる環境変化への戸惑いはもちろんあったが、最も大きかったのは授業や勉強方法の違いだ。
  高校までの勉強といえば、メインは暗記だった。地理や歴史はもちろんのこと、数学などの理系科目でさえも問題パターンを覚えることが定期テストを乗り越えるための近道だった。暗記すべき単語は先生が事細かに教えてくれたし、答えもはっきりしていた。何より定期テストと進学試験という短期的な目標と長期的な目標が明確に存在していた。
 ところが大学ではそんな今までの勉強とは異なっていた。単語を覚えることの重要性がそれまでと比較して限りなく減少し、理解するという工程の必要性がかなり高まった。何より明確な答えというものが少なかった。一つの条文や原理原則に対して様々な説や解釈があり、どれが自分に合うかをそれぞれの説を理解して、比較し、選択することも多くなった。どこに問題意識をもって、何を勉強するかを自分で考えていくなど、自分で考える機会がそれまでと比較してかなり増えた。何より高校では進学試験に当たるような長期的目標を自分で決める必要がある。
 大学の授業の中でもゼミは私にとって今までとほとんど経験したことがない形式の勉強だった。明確な答えのない一つの話題、議題に対して自分の考えを持ち、一緒に受講している人の意見に耳を傾ける。そして他の人の意見に対して反応を返す。様々な環境で生活してきた人たちの意見を聞くことで、自分の殻に閉じこもるのではなく、いろいろな視点、価値観を知ることができ、自分の考えを深めることのもつながったと感じる。また、自分の考えをできるだけ短時間のうちに言語化する瞬発力的な能力も培われていると思う。
 自分の意見を主張すること、人の意見を聞くこと、それに対してすぐに反応を返すこと、これは勉強で考えを深めるときはもちろんのこと、将来働くうえでも重要な能力だと考える。それを意識して今後も授業に参加していきたい。